54.悔やまれること

豊子ちゃんがかたくなに緑さんの居場所の施設を親戚に教えなかった。なぜなのかと時々回想します。遠慮なのか、ためらいなのか。豊子ちゃんが身体が不十分で動かなくなった時、緑さんより介護にお金をかけるように言って頂ければ事故を防げたのでは?と考えています。特に入浴時は介護が必要ではなかったのではないでしょうか。終わった事ですが。母親からの意見は聞いたと思います。考えても仕方ない事を考えるものですね。緑さんに会えて豊子ちゃんの身体の状態を伝えられれば、少しは防げたのでは?と考えてしまいます。残念です。60才の人生でした。豊子ちゃんがひた隠しにしていたことが全て私が嫌でも知ってしまうのは皮肉なことです。知りたくもない個人情報のシャワーを浴びるとどっと疲れます。なくなった瞬間、当たり前ですが、印鑑証明も実印も運転免許証もマイナンバーもただの紙になります。心から虚しさを実感します。

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